空気分子が重力によって下に落ちて行き大気圧が生じるのはよく分かります。
でも今日は晴れて空気が重い!と感じることはありません。
大気圧は重力の作用だけによって生じるわけではなく、そのことは大気の上昇と深い関係があります。
それを理解するカギは大気の密度と分子の衝突です。
まず、2017/07/21の記事で、軽くなった空気が上に行く理由を考える前に気圧の2要素を取り上げました。
2要素とは・・
A 分子の重さ 上記の記事
B 分子の運動
今回はBの分子の運動による気圧について考えます。
気体分子はバラバラに飛び回っていて互いに衝突したり地面などの物体に衝突したりしています。
こうした気体分子の衝突が積み重なって気体の圧力、つまり気圧となります。
上の図を見てください。左側の長方形は先回取り上げた大気の柱、気柱です。
黄色い〇で表した空気分子の数は上空に行くほど少なくなっています。つまり密度が小さいわけです。
逆に地表面に近くなるにつれて大気が圧縮されて空気分子が多くなり密度が大きくなります。
右側の三つの四角は気塊を示しています。
ここでも気柱と同じく上の方が密度が小さく、下の方は大きくなっています。
真ん中の気塊の立場で考えると上の気塊からも下の気塊からも空気分子がぶつかってきて圧力を受けます。
でも上の気塊には分子が少ないので圧力(気圧)は低くなります。
一方、下の気塊には分子が多いので圧力(気圧)は高くなります。
するとどうなるか?
例えとしてラッシュ時の電車の中を考えてみます。
駅に着いてドアが開きたくさんの人が乗り込んで来るなら当然ドアと反対方向に押されます。
人の多い所から比較的少ない方へ押し付けられる圧力を受けます。
大気の場合もそれと同じでしょう。
下からの気圧が上からの気圧より大きいなら全体として気圧の小さい方、つまり上に行かせようとする圧力をうけます。
これが(鉛直方向における)気圧傾度力です。(気圧傾度力は気圧差によって生じる力です)
これだけだと、大気は上へ上へと上って行き宇宙に出てしまいますが、重力があるので結局大気は上下方向の力が釣り合い、もともとに位置に留まることができます。
この釣り合いの取れた状態を「静力学平衡」と呼びます。
これらの点を踏まえて、じゃあ「軽くなった空気はなぜ上に行くのか?」という疑問については次回以降考えていきます。
1-2 軽くなった空気はなぜ上に行くのか? を考える前に…
気圧の2要素
A 分子の重さ
B 分子の運動
B(分子の運動)に関連して
空気塊の上側 ・・ 密度が低い(分子の数が少ない)⇒ 気圧が低い
下側 ・・ 密度が高い(分子の数が多い) ⇒ 気圧が高い
上側への気圧傾度力 - 重力 = 0 ⇒ その場に留まる(静力学平衡)