偏西風波動とモンスーンの共通点、相違点を表で表しました。
前回の記事を読んでくださったなら、ぱっと見て分かると思いますが、少し説明を加えます。
1.規模
左端の「規模」ですが「大気運動のスケール」という記事も参考にしてください。
大規模(マクロスケール)な大気運動のうち水平スケールがおおよそ2,000km から10,000km までを総観規模、10,000km 以上を惑星規模といいます。
アジアモンスーンとプラネタリー波が惑星規模に相当します。『プラネタリー』は「惑星の」「地球の」という意味です。
傾圧不安定波は総観規模になります。
2.種類(分類)
2-1 アジアモンスーン
モンスーン(季節風)の中でも最大のものです。
2-2 偏西風波動
偏西風波動はそのスケール(波長の長さ)によって、プラネタリー波と傾圧不安定波に分けられます。プラネタリー波は超長波とも呼ばれます。
3.水平スケール
各現象の水平スケールの数字については資料によってまちまちで、あまり神経質になる必要はなさそうです。
3-1 アジアモンスーン・・
1万km 程度
3-2 偏西風波動
偏西風波動のスケールとは波長の長さを示しています。電波でいうと山と山の距離です。
超長波というのは1万km を越えるもので、プラネタリー波がこれに相当します。
長波についての資料は少なかったので括弧書きにしました。6,000km 程度です。
傾圧不安定波の数字もまちまちですが、5,000km に近い数字だと温帯低気圧が発達しやすくなります。
4.波数(地球を1周するときの波の数)
プラネタリー波・・1~4
傾圧不安定波・・それ以上
5.要因
それぞれの現象を引き起こす要因については熱的要因と力学的要因の2つが挙げられます。
3つの現象に共通するのが熱的要因つまり温度差です。
5-1 アジアモンスーン
《熱的要因》
ユーラシア大陸とインド洋の熱容量の差によって引き起こされます。
さらにヒマラヤ山脈とチベット高原が温度差を大きくします。
《力学的要因》
ヒマラヤ山脈とチベット高原がモンスーンの向きを東に向け規模を大きくします。
5-2 プラネタリー波
《熱的要因》
北半球にはユーラシア大陸と北アメリカ大陸があり、大陸と海洋の熱容量の差を大きくします。
《力学的要因》
大陸にはヒマラヤ山脈、ロッキー山脈など高度の高い大規模な山岳がいくつもあり、これらも偏西風の流れを乱す要因の一つとなります。
5-3 傾圧不安定波
《熱的要因》
中緯度は南北の温度差が大きく、これが偏西風の蛇行を引き起こします。さらに偏西風の蛇行は温帯低気圧の発生、発達に関与します。
表の説明は以上です。個々の詳しい内容は別の記事で
特に傾圧不安定波が難しい 😕