秋雨前線、実態は梅雨前線 ここ数日に起きた全国の大雷雨の背後には前線の性格もあるのかもしれません。
一昨日(2018/08/27) は首都圏で大雷雨となりました。翌日は西日本各地にも激しい雷雨が襲いました。
この背景には梅雨をもたらすシステムが今ごろになって再び現れたことがあるようです。
これは気象予報士の森朗さんが27日放送のTBSテレビ「ひるおび」で解説していたことです。その解説を解説します。
まず梅雨前線と秋雨前線のシステムの違いについて考えます。次の記事も参考にしてください。
⇒「梅雨の仕組みは二つある」
⇒「梅雨の4気団」
梅雨前線の仕組み
上のイメージ図は梅雨前線が生じる仕組みの一例を示したものです。
前線というと一般に暖かい空気と冷たい空気の境に生じると思われています。
ただ、梅雨前線については暖かく湿った空気の流れが日本付近でぶつかり合うことで活発化するとも考えられます。
特に西日本では、南西からの暖かく湿った空気(モンスーンの気流)と太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気の風がぶつかり合うことで前線が活発化する場合が多いです。
暖湿流の吹き溜まりのような状態になるということです。
それらの暖かく湿った空気は梅雨前線で雨を降らし、前線の上空を通り過ぎて暖かく乾いた風となって大陸に進み、そこで上昇気流を生じさせて低気圧が発生します。
ですから、梅雨前線の性格としては温度の違いよりも暖湿流の収束の要素が大きいと理解できます。
たまに(と森さんは言っていました)、オホーツク海高気圧が発生し、特に東日本でしとしと降る雨雲が生じます。
この場合の梅雨前線は温度の違いで生じると考えられます。
秋雨前線の仕組み
秋雨前線の場合は、大陸からやってくる移動性高気圧(涼しくて乾燥した気団)と太平洋高気圧(暖かく湿った気団)との境に生じます。
移動性高気圧は涼しくて乾いた空気を運ぶので、秋雨前線が南下するとさわやかな秋晴れとなります。
梅雨前線のような秋雨前線
ここで本題に入りますが、ここ数日の気圧配置は梅雨の時期によく似ています。
● 南から暖かい空気が集中している。
前線の位置を見ると右肩下がりとなっています。そのため、日本列島の西側に入った気流は前線に沿う形で西風となります。そこに太平洋高気圧からの南風が入り、暖湿流が吹き溜まりのように集中し活発な積乱雲が生じました。
● 東海上の高気圧から涼しい風が吹いている。
これは梅雨の時期のオホーツク海高気圧と似ています。
● 大陸にあるはずの移動性高気圧が見当たらなく、逆に低気圧がある。
これも梅雨の時期と似ています。
このようにして、東から西日本にかけては前線から離れていても激しい雷雨が生じたと考えられます(というのが森さんの見立て)。
もちろん気圧配置は日々変わるので、そのうち典型的な秋の形になるでしょう。
はるか南にある台風21号が何をやらかすか、やらかさないか注意が必要ですね。