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マルチセル型雷雨の移動方向(雷雨7)

セルの赤ちゃんがやって来る方向と一人一人のセルが動く方向とマルチセルが一丸となって進む方向と、全部バラバラなのが典型的なマルチセル型雷雨。ややこしいけど面白そう。

ということで、今回はマルチセル型雷雨の進行方向について考えていきます。

1.進行方向を決める要素

1-1  中層風・・ 個々のセル

前回考えたように一つ一つのセルは中層風によって移動して行きます。この場合、東へ進みます。これは分かり易いです。

1-2 下層風・・ 新しいセル

新しいセルができる場所は下層風が入って来るところです。そこに水蒸気の供給と上昇気流があるからです。一方、古いセルが消えて行く場所はその逆側です。それで世代交代が進むに連れ、雲の塊としては南に移っていきます。

1-3 上の2つのベクトルを組み合わせることによってマルチセル型雷雨としての見かけ上の進行方が決まります。この場合、東+南=南東 ですね。

では、この後の流れを前回のイメージ図の続きで時間を追って推察していきます。

2. マルチセル型雷雨が動き出す(5:00)

4:00の段階で衰弱期だった赤のセルは5:00には消滅しています。

一方、雲の塊の南側では新たなセル(ピンク)が発生します。

一つ一つのセルは東に移動して行きますが、雲の塊としては南東方向へ移動して行くのが分かります。

3.マルチセル型雷雨の移動方向(6:00)

マルチセル型雷雨が移動し始めると、条件が変わらなければ同じ方向に進み続けます。

まとめれば、この条件ではマルチセル型雷雨は中層風の進行方向の右側(この場合、南東)に移動します。

鉛直シアの条件が違えば動き方も変わります。

つまり中層風と下層風との風向や風速の違いによって移動の方向やスピードが変わってくるという訳です。

4.団塊状と線状

前回と今回で考えたマルチセル型雷雨は形として団塊状のものでした。

中層風と下層風の組み合わせによっては、この形が線状(ライン状)になる場合があります。

最近よく「線状降水帯」という言葉を聞きますが、マルチセルの形が線状になると集中豪雨をもたらすことがあります。

集中豪雨については、雷雨とは別に詳しく取り上げるつもりです。その前に、もう一つの巨大雷雨、スーパーセルに取り掛かります。これがまた複雑なので、そして派手なので、次回に回します ➡