ベナール型対流 なるものは ~積雲 なるものを生み出し、 蜂の巣 みたいな雲も作る。さらに、お馴染みの 筋状の雲 も作り出す。面白いですね。
今回は冬にベナール型対流が生じる理屈と、それが生み出す 蜂の巣状の雲について考えます。
1.冬の海に現れる雲
西高東低・冬型の気圧配置の時に日本海にしばしば現れるのが筋状の雲です。衛星画像を見ると日本海だけでなく、黄海や太平洋にも生じるのが分かります。
でも同じような気圧配置の時に、同様の海域に蜂の巣のような形の雲が現れることもあります。これもベナール型対流が関係しています。
衛星画像を用意できていないので、皆さんでググって見てください。
2.冬型の気圧配置で生じるベナール型対流
イメージ図の上半分に注目してください。
冬型の気圧配置の時、大陸から乾燥した寒気が日本海に流れ込んで来ます。
一方、日本海には暖かい対馬海流が流れているので下層では湿った暖かい空気の層ができます。
こうして下層では暖かく湿った空気、上層では乾燥した冷たい空気という状態ができあがります。
この大気の温度差が成層不安定を起こし対流が生じます。この時の対流がベナール型対流です。この対流と日本海の湿った空気が雪雲を作るという仕組みです。
3.沈降逆転層
さて、寒気は当然、温度が低いので、やや下降ぎみに流入して来ます。そのため乾燥断熱昇温によって高度2500m付近に逆転層(沈降逆転層)が出来ます(乾燥断熱昇温と逆転層については別の機会に取り上げます)。
逆転層では高度が増すに連れて温度が高くなるため空気塊はこれ以上 上昇できず、雲の高さも2500mくらいにとどまります。
4.蜂の巣状雲のタイプ
次にイメージ図の下半分に注目してください。ベナール型対流による雲のでき方には二通りあります。
A オープンセル型
このタイプは雲を鉛直面で見ると上昇気流の位置に雲が出来ています。これは分かり易いですね。
この時の雲の集まりを上空から見ると蜂の巣のように見えます。図の右側にそのイメージを描きました。6角形の周囲に雲があり、真ん中には雲がありません。
冬型の気圧配置の時の衛星画像によく出てきますね。
B クローズドセル
もう一つはクローズドセル型です。鉛直面で見ると、下降気流の位置に雲があり上昇気流の位置に雲がない、変わった形になっています。
上空から見ると、6角形の周囲には雲がなく、真ん中に雲があるという形になっています。
クローズドセルの仕組みは分かりづらいと思います。資料によって説明が違っていたりするので、これ以上深入りしないことにします。
ベナール型対流による蜂の巣状の雲を調べましたが、次は筋状の雲を考察します。
さっと扱ってしまえば楽なのですが、試行錯誤しながら分かり易い図を作るつもりです。ちょっと疲れそうな予感が・・・・・・