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渦運動エネルギー(傾圧不安定波7)

偏西風の蛇行には渦という要素が含まれています。温帯低気圧の風の流れもやはり渦です。

渦運動エネルギーは上空の渦と地上付近の渦を結びつける役割も果たしています。

そして渦運動エネルギーは温帯低気圧が発達する際の主なエネルギー源となります。

では渦運動エネルギーについて順に考えていきます。

1.偏西風から温帯低気圧への風の流れ(立体像)

偏西風と温帯低気圧

このイメージ図の説明は次の記事をご覧ください。

偏西風、低気圧に寄り道

こちらの記事も参照してください。

3次元で大まとめ2

要するに寒気と暖気を分ける壁となっていた偏西風が蛇行することによって、寒気の一部が下降して来て暖気と衝突し、温帯低気圧を発生・発達させるということです。

2.渦有効位置エネルギーから渦運動エネルギーへ(水平面)

復習になりますが、渦有効位置エネルギーのイメージ図を紹介します。

この形になると、寒気の持つ渦有効位置エネルギーが風(下降気流・寒気移流)という形で渦運動エネルギーに変換されます(下の図)。

この寒気の風と南側の暖気の風が温帯低気圧の周囲を回転して低気圧の勢力が強くなります。

3.渦有効位置エネルギーから渦運動エネルギーへ(鉛直面)

渦運動エネルギーを鉛直面で見てみると上記の図のようになります。

図では西側から東側に寒気が流入しているように描かれていますが、北西から南東といった方が実際の現象に近いかもしれません。

寒気の先端が地上に接したところに寒冷前線があります。温暖前線のあるところは逆に東側に寒気がある形になっています。

ただ、位置エネルギーは冷たい空気の方が大きいので、直接寒気が下りて来る寒冷前線側の方が温暖前線側と比べて運動エネルギーも大きくなります。

ですから温帯低気圧を発達させるのは主に寒気移流という形の運動エネルギーです。

これまで4回にわたって傾圧不安定波をエネルギーの観点から調べてきました。次回の記事でそのまとめ図を紹介します。