バックビルディング型集中豪雨(平成30年7月豪雨)

平成30年7月豪雨のメカニズムについて様々なところで解説がなされていますが、よく耳にするのが「バックビルディング」という言葉です。

「バックビルディング現象」「バックビルディング型」「バックビルディング型線状降水帯」「バックビルディング型マルチセル」等々いろんな表現があります。

この現象によって同じ場所で長時間豪雨が降り続いたわけです。

バックビルディングとは

「バックビルディング型」の定義についてウィキペディアによると

「バックビルディング型とは、成長期・成熟期・衰退期など異なるステージの複数の降水セル(積乱雲)が線状に並びつつ一般風の方向に移動しており、成熟期や衰退期のセルからの冷気外出流により移動方向とは反対の風上方向に新たなセル(積乱雲)が生まれるタイプのものをいう。

分かり易く言うと、積乱雲が風上で次々と発生しては通過していき、結果として同じ場所で豪雨が長く続くということでしょうか。

「バックビルディング」という呼び方の由来ですが、風の進行方向の後ろ側にビルが林立するように見えることから来ているとか、積乱雲が移動しても次々に後ろ(バック)に新たな積乱雲が立ち上がる(ビルディング)ということから来ているといった説明があります。

積乱雲を色付けしました

上記の図はこの現象をイメージしたものです。

この図は今回の豪雨が進行中の時にTBSテレビ「ひるおび」で気象予報士の森朗さんが解説していた内容を参考にしています。

見て分かる方は次の説明を飛ばしてください。

◎図の左側はA地点を横から見たものです。

◎図の右側はA地点を上空から見たものです。

◎任意の時間(1:00~3:00)における、任意の地点(A)での気象現象を考えます。

◎分かり易いように発生から衰退までの一つ一つの積乱雲を色別で表しています。

◎黄色の矢印は上空の風を示しています。

◎地上付近の風も上空の風と同じ方角に吹いていると考えてください。A地点後方の山地の影響で上昇気流となります。

◎このケースではA地点は山と山に挟まれ風が集中しやすい場所にあると設定します。

一難去ってまた一難(時系列で説明します)

1:00

●既にA地点を通過した緑色の積乱雲は山を越えています。

●A地点上空には青い積乱雲が最盛期となって激しい雨を降らしています。

●A地点の風上にはピンクの積乱雲が出来つつあります。

2:00

●青い積乱雲は風下に移動し衰退しつつあります。

●ピンクの積乱雲が発達してA地点上空にかかり激しい雨を降らしています。

●さらにA地点の風上にはオレンジの積乱雲が発達しつつあります。

3:00

●上記と同様、ピンクの積乱雲は風下に移動し衰退していきます。

●オレンジの積乱雲はA地点上空に移り激しい雨を降らしています。

●風上には緑色の積乱雲が発達しつつあります。

このような状態が長時間続くことによって西日本各地で記録的な豪雨となりました。

今日(2018/07/13)の朝のNHKニュースでは今回の豪雨と昨年の九州北部豪雨の違いについての説明がありました。それも興味深かったので次回記事にしようかと思います。

梅雨末期の豪雨は毎年のように起きています。ハザードマップを今一度確認して災害に備えたいものです。